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本当のパーキンソン病の話をしよう - 5

あれやこれやで時間が過ぎて、すっかり寒くなってしまいました[台風]
このシリーズはいつか再開しますが、今回はこれでいったん終了とします[眼鏡]


このシリーズの最初で述べた二番目の患者さんに戻ります。
テーマは歩行時のめまいのような症状です。
お忘れの方は「本当のパーキンソン病の話をしよう-1」を読み返して頂ければと思います。

「歩いていると何とも言えない気分の悪さが出現する」
「とりあえずめまいという表現をしましたが、どうなんでしょうか」
このような症状を持ったパーキンソン病患者さんは決して少なくありません[目]
軽い症状の方もいますし、非常に強く訴える方もいます[手(パー)]

めまい.gif



多くの神経内科医はこの症状を気にとめないであろうと思います。
直感的にはこの症状はパーキンソン病に関係した症状だと思っていますが、これといった根拠があるわけではありません。

この症状は、乗り物に乗って周囲の景色を眺めていても出現しません。
じっと座っていても症状はありません。歩くと出現します。
私の診察では、何回も左右に目を動かして貰うと(saccade=断続運動)歩いた時の気分の悪さに似た症状が出てくる場合があります。

2012年にはパーキンソン病のsaccadeに関する論文が幾つか発表されました。
Saccadeは見たい対象を、網膜の黄斑部の中心(中心窩)に映し出す眼球運動です。

ところが、パーキンソン病では多くの方が、このsaccadeの動きが小さくて遅いとされています。
歩行すれば周囲の景色は変わっていきますが、その時目はこのsaccadeを行っていると思われます。
しかし、振幅が小さかったり遅かったりしますと、うまく網膜の中心窩に精度の高い像を映し出せないかもしれません。

そのことが患者さんの不快な感じに繋がってる可能性はないでしょうか。
現在、この問題を解決したいと思いsaccadeを調べようと計画しています[眼鏡]

目にはアマクリン細胞と呼ばれる細胞にドパミンが含有されています。
そして、パーキンソン病の患者の網膜でドパミン含量を測定すると低下しているという報告があります。
また、弱視に対してドパミン療法が奏功するという論文も幾つか報告されています。

目のドパミンが、外界からの光入力の情報処理やそれに必要な眼球の動きなどにどのように係っているのか興味深いところです[exclamation]

パーキンソン病は簡単な病態で説明できるような病気ではありません。
患者さん訴えの一言一句を気にとめて、過去に先輩たちが発表した全ての論文と照合しながら考えていけば、その本当の姿が見えてきます。

来年かその先かは分かりませんが、もう少しちゃんとしたメッセージをお送りしたいと考えています[手(チョキ)]


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